南砺市の集会施設

富山県の砺波平野における、ギャラリー、地域物産、ホールからなる地域集会施設の設計提案。

本地域集会施設には地元の生活者とともに近隣や遠方からの来訪者の利用が想定され、必然的に地域の特性を如何に設計に取り込むか、ということが主題となった。

砺波平野は、散居村とよばれる散り散りの集落と、その背後にそびえる日本アルプスの山々による景観が特徴である。そこで、砺波平野に広がる山々の風景と、そこで行われる農業をはじめとした人々の生産の風景を手がかりに施設の計画を行った。

施設の設計にあたり、まず散居村の屋敷林にあたる機能を、卓越風を受け流す屋根として敷地の南から北へ“むくり”をつけた形状に読み替えた。次に、東西方向にもうねりを加えることで内部空間に要求されるスケールをフラットなフロアの中で取りきった。結果、建築は田園と連続する水平のフロアと、それを覆う3次曲面の大屋根というシンプルな形式をとり、遠方のアルプスの山々に呼応したランドスケープが生まれた。

プランは建物内を周回するような動線計画をベースとし、ギャラリーと地域物産を動線に沿わせて配置する計画とした。ギャラリーの合間には、敷地周辺の田園と農具庫が望める開口部を設けることで、動線の中で展示物と生産風景がスイッチするような体験を生み出している。