広場に寄り添う緩やかな道
横浜市山手に位置する根岸森林公園に公衆トイレを建設する実施コンペでの応募案。

根岸森林公園は、自然の丘陵が生み出す傾斜のある場所・平坦な場所を持ち、地形に応じて様々なアクティビティが生まれていることが大きな魅力となっている。この場所に建つトイレは、従来のように閉じた単一的な用途のトイレではなく、この公園の魅力である地形の豊かさを活かした様々なアクティビティの受け皿となることがふさわしいと考えた。

そこでまず園路からつながる回遊性のある「道」を計画し、その「道」に公園で快適に過ごすことのできる機能を散りばめた。「道」は部分的に高さや形を変え、手洗いやテーブルなどとして振る舞い、トイレの利用者だけでなく、休憩するランナーや食事する観桜客なども利用することができる。また、通路や手洗いといったトイレとして必要な機能を「道」と共有することにより、トイレは必要最小限の面積で計画でき、周辺の景観と調和するささやかなボリュームとして立ち現れる。




建築は県産材の木材を活用する計画としている。屋根はCLTを用い、木の表情がそのまま天井の仕上げとなるよう意図した。外壁には40mm角、30mm角、15mm角の3種類の角材を組み合わせ、繊細な表情の曲面を構成する。小断面の木材利用により歩掛りが向上し、小径木の利用が可能となっている。
横浜市公共建築100周年記念設計コンペ 一次審査得票
(共同設計:穴水宏明、釜谷潤)