
Intersection of Intelligence
東京都内某所における、集合住宅とオフィスによる職住一体集合住宅の設計提案。
建築を構成するエレメントには、建築が内包する用途を成立させるための慣習的なルールが存在する。例えばオフィスの一般的な階高は4.0m~4.2m程度なのに対して、集合住宅では3.0~3.2m程度といった具合である。長い歴史の中で蓄積、更新されてきたルールは「知性」ともいえるものとなっている。
単一の建物の中で複数の用途を混在させる場合、ルール同士の齟齬が発生する。これを解消する一般的な解法のひとつが、異なる用途を積層させることである。階によって明確に用途を切り替えることで、各用途の最適解をすり合わせていく(勿論、柱や縦シャフトなど、上下貫通する要素についてはさらなる工夫が必要なのだが)。この結果、各用途のつながりは稀薄になりがちになってしまう。

今回の設計では、職住一体の住まいを考えるため、用途を積層させるのではなく、噛み合わせる=交錯させることを考えた。集合住宅とオフィスのボリュームを仮定し、それぞれに独自のルールをもった躯体、外装、内装を与える。敷地内で2つのボリュームを重ねることで、オフィスと集合住宅のルールが交錯する。
これにより、建物内に「居住空間に執務空間の壁や仕上げが貫入する」「執務空間にキッチンが配置される」「同じフロアでフローリングと床タイルが切り替わる」などといった現象が起きる。慣習化されたモノのルールの重なりによって空間の領域が開かれ、解釈可能性に富んだ職住一体の暮らしが生まれていく。